スモールビジネスのための問屋サービス オーダリーへようこそ

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article : Tomomi Sumida
pictures : Yuya Okuda

店舗の規模や販売方法にとらわれない“新しいカタチ”のお店が、近年増えてきています。
コロナ禍でECの利用が一般的になったこともあり、路面店を構え、多くの従業員を抱え、毎日オープンしている従来型のお菓子屋さんではない、多くの選択肢が生まれました。また、SNSを活用すれば、多額の広告費をかけなくてもお店の魅力をアピールできる時代です。

今回はそんな“新しいカタチ”のお菓子屋さんとして、オンラインパティスリー「Chat LuuME(シャルーメ)」を営むNekonoME Cafe(以下、ネコノメ)さんと、東京・阿佐ヶ谷にあるシェアキッチンを拠点に活動している「ERI ORDER MADE CAKE」のえりさんをお招きし、今のカタチでの開業を選んだ理由や普段から“使い倒している”というorderie(オーダリー)での仕入れについてお話を訊きました。

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ネコノメ/Chat LuuME(シャルーメ)
2020年よりYouTubeにて、お菓子づくり動画の投稿を本格的に開始。着実にファンを増やし、2021年10月よりオンラインパティスリー「Chat LuuME」を立ち上げる。ECでの販売のほか、百貨店でのポップアップなども行なう。現在のチャンネル登録者数は28万人を超える。https://chat-luume.com/

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えり/ERI ORDER MADE CAKE
製菓学校卒業後、洋菓子店に8年間勤務。退職して一旦はOLになるもののお菓子づくりを諦めきれず、再びパティシエに。「Mr.CHEESECAKE」の立ち上げメンバーとして働いたのち、独立。現在は東京都・阿佐ヶ谷にあるシェアキッチンFOOCO(フーコ)を拠点に活動中。https://eri-ordermadecake.stores.jp/

SNSがある時代だからこそ、多くの選択肢と出会えた

──有名店で働いてから自分のお店を開き、毎日お客さまを出迎える。そんな従来型のお菓子屋さんではない“新しいカタチ”でブランドをはじめた理由を教えてください。

ネコノメ:製菓の専門学生の頃から、25歳になったら独立したいと強く思っていました。結果として1年遅れの26歳でオンラインパティスリー「Chat LuuME」を立ち上げ、今年で2年目です。ちいさくはじめた理由は金銭面を含め8個くらいあるんですが(笑)、大きな理由としてはコロナ禍の影響によるECの台頭です。

アパレルや料理の世界は実店舗がないお店もたくさんあって、ECも細分化されていたりと専門店も多い印象ですが、お菓子屋さんでオンラインに特化したお店ってあまりないと思って。コロナの影響でこれだけECが一般的になったならやれるかな、と。僕がYouTubeやSNSでの発信が多かったこともあり、ECとは親和性も高いと考えてはじめました。

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えり:私は製菓学校を卒業後、街のお菓子屋さんに8年間勤めました。朝から晩まで働いて、睡眠4時間でまた仕事、みたいな生活がつらくて実は一度パティシエを辞めたんです。それで3カ月だけ事務のお仕事もしてみたんですが、お菓子が好きだから諦めきれなくて。

その後、ご縁があってMr.CHEESECAKEの立ち上げに携わり、代表の田村浩二シェフの下でお菓子づくりだけではなく、ブランドの在り方、お客さまへの伝え方を学びました。この経験を活かして、ちいさくてもいいから自分のやりたいカタチでお菓子を作りたくて、シェアキッチンという方法を選びました。

──ブランドを立ち上げた時、不安はありませんでしたか?

ネコノメ:実店舗がないとはいえ、売上が立つ前に物件や機材、材料などに大きなお金が必要だったので、事業として継続していけるか不安でした。人も雇ったので、自分以外の人生を背負う覚悟も必要で。でも、同世代で独立した仲間たちと出会えたことが、力になりました。それまでは早く独立したい気持ちはあったものの、有名シェフの下で修行してからお店を構えたり、コンクールで賞を取る以外の方法がよくわからなかったんです。でもSNSのおかげで彼らとつながって、独立にも色々なやり方があることを知れました。

えり:今は20代前半から自分のブランドを立ち上げる方が多いですよね。私がお菓子屋さんに勤めていた頃は「有名店で何年も修行しました」、「一流ホテルで働いていました」というブランド力が、次のステップにつながることが多かったと思うんです。でも今は時代が変わって、若くてもブランドを作って、個人の力で売れていく方が増えてきたと感じます。

私もネコノメさんと同じで、どうやって自分のお店をはじめたらいいか全然わからなくて。そうしたら、シェアキッチンという月々の利用料だけでお店をはじめられるサービスがあると知り、「じゃあ」とやってみました。きっと、私がもっと吹っ切れた人間なら、銀行に行ってお金を借りて、自分のお店を持っていたと思うんです。でも吹っ切れないからこそ、ちいさくはじめて、色々と試しながら続けています。

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──個人の力で売れていくには、何が必要だと考えますか?

えり:おいしいお店は本当にたくさんあるので、自分のブランドがどんなお客さまにどんなものを届けたいのかハッキリさせることが大切なのかな、と思います。「ERI ORDER MADE CAKE」がお店を出している阿佐ヶ谷は、昔ながらの商店街もあって活気ある雰囲気の町で、お客さまも人情味のある方が多いです。飲み屋さんも多いので、飲んだあとの〆や、仕事のあとのご褒美として選んでいただけるよう“夜のお菓子屋さん”を営業しています。まだまだ私も試行錯誤の毎日ですが、お店で働いていた頃よりお客さま一人ひとりの顔が見えて、販売の度に感想をいただけて、すごく楽しいです。

オーダリーで広がる、仕入れの自由度

──オーダリーは製菓製パンを中心とした、スモールビジネスのための問屋サービスを謳い、月額のサービス利用料を支払うことで、問屋価格かつ送料無料で豊富な材料を仕入れることができるWEBサービスです。お二人がこのオーダリーを知ったきっかけはなんですか?

えり:実は去年、看板商品のマロンパイに使う栗が急に仕入れられなくなっちゃったんです。それで一生懸命検索して、使っていた栗の取り扱いがあるのを見つけたのがオーダリーでした。月額2,000円(9/1から月額1,280円に変更)さえ払えば、必要に応じて1品ずつからでも送料無料で届く……私、騙されてるのかな(笑)。でも本当ならすごいから、騙されてもいいやって注文してみたらちゃんと届いて、しかも梱包もキレイで。「これは仕入れが根本から変わる!」って思いました。私のような個人事業主にも、お菓子屋さんと同じ問屋価格で販売してくれるなんて嬉しくて、思わずシェアキッチンの皆さんにもお伝えしたほどです。それまでは「お菓子屋さん時代は、もっと安く仕入れていたのにな……」と思いながら作っていたので、すごく感動しました。

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「ERI ORDER MADE CAKE」の商品棚。2段目の右端が看板商品のマロンパイ

──そもそもお菓子屋さんで働いたことがないと「問屋価格」の存在を知らない方もいらっしゃいますよね。趣味からはじめて今お菓子屋さんをしている方は、オーダリーのお値段に驚かれるかもしれません。ネコノメさんは、どのようなきっかけですか?

ネコノメ:Instagram広告でターゲティングされたのが、オーダリーとの出会いです(笑)。試しに検索して覗いてみたら、まさに僕のためにあるようなサービスでした。「Chat LuuME」の場合、オンラインパティスリーなので、お客さまは全商品の中から自分のほしいものを注文するんです。となると注文に応じて使う材料が変わるので、こまめに発注しないといけなくて。実店舗があれば、抱えている材料によってお店に出す商品を変えてコントロールしますが、品揃えを多くできるのもオンラインパティスリーの強みなので、送料を気にせずに細かく発注できるのは有難いです。

えり:自分の時間を大切にできるのも、オーダリーの魅力だと思います。これまでは、冷凍卵黄や冷凍卵白は製菓材料店に電話をかけて、取り寄せをお願いしてから買いに行ってましたが、今はオーダリーで隙間時間にポチっとすれば買えるんです。いざお店に行ったら品切れで出直すなんてこともないし、お家にいれば届く! クール便も無料! 最高です。

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材料について相談できる心強さ

──5000品目もの品揃えもオーダリーの魅力かと思います。

ネコノメ:熱いですね。一般的な製菓材料店ではなかなか手に入らない商品もあるので、材料を買う時はまずオーダリーで探しています。なかったら「取り扱いをお願いできませんか」とオーダリーにメールでお願いしてみたり。オーダリー上で「これ誰が使うんだろう?」っていう商品があったら、僕がお願いしたものかもしれません(笑)。そのくらいお世話になっています。

──その材料、気になります(笑)。

ネコノメ:最近だと、甜杏仁パウダーっていう杏仁霜の中に入っている圧搾されていない油脂分が残ったままの杏仁パウダーをお願いしました。これに限らず、それまではちょっと珍しい材料をインターネットで買う時は「本体300円なのに送料1000円かぁ……」と思いながら入手していたので、都度の送料を考えずに注文できるのは有難いです。

えり:商品数の多さだけでなく、商品説明も充実しているので、食べ比べなくても違いがわかるのはいいですね。たとえばチョコレートは、カカオの含有量の数字だけ見てもビターなのかフルーティなのか味わいはわからないので、いつも読み比べてから注文しています。お客さまにお菓子の説明をする時にも参考にさせてもらっています。

ネコノメ:すごくわかります。本来パティシエなら材料知識を持っておくべきだとは思うんです。でも新しい商品もどんどん出てくるので、正直なところ網羅しきれなくて。だからオーダリーの情報は頼りにしています。それにオーダリーには「材料ハンター」という肩書きの方がいて、材料についてなんでも相談に乗ってくださるんです。「詳しくはメーカーのホームページを見てください」じゃなくて、豊富な材料知識があるからこそご提案いただけるのも助かります。

えり:そうなんですね! 私はクラシックなお菓子を作ることが多いのでそんなに目新しい材料に手を出す方ではないんですが、ほかのお菓子屋さんとコラボをする時には相談してみたいです。いつもとは違うお菓子をお出ししたいので、材料ハンターさんがいれば新しいアイディアが生まれそうです。

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──オーダリーのサイトは、読み物も充実していますよね。種類の豊富な材料についての専門的な内容の記事や、ほかのお店が実際にどんな材料を仕入れているかがわかるお店のインタビュー記事など、どれも読み応えがあります。

ネコノメ:商品開発の勉強にもなるので、記事が更新される度にしっかり読んでいます。僕らのようなちいさなお店って、大きなお菓子屋さんのように研修会があるわけではないので、情報収集がなかなか大変なんです。ほかのお店のことを知れる取材記事もあるし、材料ハンターの方がいて相談にも乗ってくれる。オーダリーとなら歩調を合わせて一緒にやっていけるなって。サービスを利用していて、すごく安心感があるんです。これからお店をはじめる方にとっても、オーダリーは心強い味方になると思います。僕なんか多い時はひと月に15回もオーダリーで仕入れていますから。

えり:間違いないです。ちいさなお菓子屋さん、全員にお勧めしたいですね!

毎月2,000 円のサービス利用料を払えば、5000品目もの品揃えのある倉庫を持てるというオーダリーの画期的な仕入れサービス。このサービス利用料が、9月から1,280円に値下げとなりました。安くなった分、新たにもう一品気になる商品を仕入れてみるのもいいかもしれません。オーダリーは、ユーザー(事業者)の皆さまにさらなる仕入れの楽しみを味わってほしいと考えています。そしてこれからも、本当に良いものづくりをしている全国のクリエイター(生産者)たちの商品を、ユーザーやその先にいるお客さんのもとに届けていきます。

好きな場所で自分らしく事業を営んでいくことを選んだ方たちのために、流通を通じてそのお手伝いをし、日本中に“スモールビジネスの輪”を広げていくことがオーダリーのサービスであり、掲げるミッションです。

「ちいさいことは美しい」

そんな世界を創っていくために、オーダリーはこれからもユーザーやクリエイターの皆様とともに歩んでいきます。

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オーダリーのシリーズ企画「100人の仕入れリスト」では、今回ご登場いただいたネコノメさんの欠かせない材料についてもお話を伺いました。こちらも併せてチェックしてみてください。

▼この記事を書いた人
炭田友望/office sumida
フリーのコピーライター、企画編集ライター。趣味のお菓子づくりが高じて、2023年より時々シフォンケーキの販売をはじめる。noteにて開業日記『コピーライター、「お菓子屋さん」になる。』を発信中。

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