#生クリーム色
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「おいしさ」を感じるのは舌だけではありません。五感情報取得の割合は、視覚が約87%、対して味覚が約1%。「目で食べる」という言葉があるように、視覚からの情報も「おいしさ」に大きく影響しています。また、色は香りと同じく、その人の記憶に結びついています。例えば黄色い色を見たときにレモンを想像して、酸っぱそうと感じたり、赤い色から甘いイチゴを連想するのも、色と体験を結びつけて記憶しているためです。
今回はorderieにある生クリーム (フレッシュクリーム)
を泡立て、絞った状態で並べました。純白から黄味がかった色までさまざま。これは乳牛が食べている飼料や搾乳時期などによって変わるためです。産地、品種、個体が同じでも、乳の色に外部環境の変化が現れるのです。
たとえば北海道など広大な土地がある場所で、牧草を食べて育つ乳牛の生乳を使った生クリームは、黄味がかった色になります。牧草に含まれるカロテノイド系色素
、特にベータカロテン(小腸の粘膜の中でビタミンAに変わる緑黄色色素)
が、乳脂肪に溶けているからです。特に生草はベータカロテン含有量が高く、土壌や生育環境によっても変わります。
一方、穀物やカロテンの量が少ない牧草で育った乳牛の生乳から作られた生クリームは、カロテノイド含有量が低いため純白に近い白さになります。白は無彩色と呼ばれ、色味がないため、どんな色と組み合わせてもなじみ、他の色を引き立てる特性があります。