#膨張剤
クリップボードにコピーしました
パンやお菓子を膨らませるために使われる合成膨張剤。発生したガスによって、生地にたくさんの空気の部屋(多孔質の内層)をつくります。これによって香りが保たれたり、食感が軽くなったり、楽に噛めることから消化が良くなったりします。
ガスの発生には主にナトリウムやアンモニアを含むアルカリ性剤とそれに反応させてガスを発生させる酸性剤が関与しています。アルカリ性剤と数種類の酸性剤、そしてその反応を遮断する食品素材(コーンスターチや小麦粉など)を組み合わせ、ガス量・ガス発生タイミング・pH等を調整し、用途に応じたベーキングパウダーが組み立てられています。同じガスを発生させる合成膨張剤でもそれぞれの中身を見ると、配合や使われている製剤は様々です。
今回はガスの発生元となるアルカリ性剤、酸性剤についての詳細と、アイテムそれぞれの中身の配合割合を見えるようにしました。同じように見える合成膨張剤ですが、それが作られた目的が違えば中身も違ってきます。
- 炭酸水素ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- グルコノデルタラクトン
- 第二リン酸カルシウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 食品素材
- 炭酸水素ナトリウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- 食品素材
- 炭酸水素ナトリウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- フマル酸
- 食品素材
- 炭酸水素ナトリウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- 第二リン酸カルシウム
- 食品素材
- 添加物
- 炭酸水素ナトリウム
- グルコノデルタラクトン
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 食品素材
- 添加物
- 炭酸水素ナトリウム
- グルコノデルタラクトン
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 食品素材
- 添加物
- 炭酸水素ナトリウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- 食品素材
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 炭酸水素ナトリウム
- 食品素材
- 添加物
- 炭酸水素ナトリウム
- 塩化アンモニウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- 食品素材
- 炭酸水素ナトリウム
- 第一リン酸カルシウム
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
- d-酒石酸水素カリウム
- 食品素材
- 塩化アンモニウム
- 炭酸水素アンモニウム
- 炭酸水素ナトリウム
アルカリ性剤
- 炭酸水素ナトリウム
炭酸水素ナトリウムは熱を加えると炭酸ナトリウム、二酸化炭素、水が生成されます。ここで生成された炭酸ガス(二酸化炭素)によって膨らむ作用を及ぼす一方で、炭酸ナトリウムはアルカリ性であるため、アルカリ臭が残ったり、小麦粉に含まれるフラボン色素を黄色に変える作用もあります。
(80°Cから活発にガスが発生します。) また、酸性剤を加えて中和すると単に加熱した場合の2倍の量のガスを発生させ、発泡力が強くなります。
アルカリ性剤
- 炭酸水素アンモニウム
炭酸水素アンモニウムは「パン屋のアンモニア」や「臭粉 (しゅうふん) 」などと言われ、古くから欧米や中国で用いられてきました。
熱を加えると、アンモニア、二酸化炭素、水が生成されます。
炭酸水素ナトリウム (重曹) よりも低温で多量のガスを発生させることができますが、単体では生地中にアンモニア臭が残る場合があります。
酸性性剤
- 第二リン酸カルシウム
グルコノデルタラクトンより遅い、遅効性の酸性剤。
- 食品素材
酸性性剤
- 第一リン酸カルシウム
低温でも溶けやすく早く炭酸水素ナトリウムと反応するため、ガスの発生も早い。(ガス量の1/2~1/3が常温で発生。)
そのため、速効性の膨張剤に使用されることが多い酸性剤です。
ミキシング後の比較的早い時期からガスを発生し、生地を練っている間もベンチタイムの間にもガスを発生し続けます。
酸性性剤
- グルコノデルタラクトン
天然の有機化合物。ハチミツに多く含まれているため、別名「ハチミツ酸」とも呼ばれており、甘みと酸味をもつのが特徴です。
炭酸水素ナトリウム(重曹)と組み合わせて使用されることが多く、他の酸に比べて低温で反応することが少ないため、ゆっくりとした速度で均一な発泡をします。
酸性性剤
- d-酒石酸水素カリウム
常温で全てのガスを常温で発生させるため、速効性の膨張剤に使用される酸性剤。ブドウの汁に多量に含まれる物質です。別名、L酒石酸水素カリウム、重酒石酸カリウム、ケレモルなどと呼ばれています。
酸性性剤
- 酸性ピロリン酸ナトリウム
酸性性剤
- フマル酸
速効性の膨張剤に使用される酸性剤。広く自然界に存在する有機酸。無臭でクエン酸の1.5倍の酸味があります。
- 添加物
ショ糖脂肪酸エステル
グリセリン脂肪酸エステル
ステアリン酸カルシウム
カゼインナトリウム
プロピレングリコール脂肪酸エステル
レシチン
リボフラビン
酸性性剤
- 塩化アンモニウム
塩化アンモニウムは炭酸ナトリウムと反応することで、炭酸ガスとアンモニアガスを発生させるため、他の酸性剤を添加する時に比べてガスを多く発生させます。また、熱を受けて初めて反応するため、比較的長くガスが発生します。
しかし、発生したアンモニアガスは生地に残ると風味を損ねるため、ガスが抜けやすい薄い生地に用いられることが多いです。